コラム更新が遅れてごめんなさい。今日の1曲をチェックした方はご存知ですが、2月6日から資料調査((271) コラム番外編:ヴァティカン図書館で調査してきた!!参照)で、ドイツのドレスデンに来ています。ドレスデンといえば州立歌劇場ゼンパーオーパー。ザクセン王国の宮廷歌劇場として、ゴットフリート・ゼンパー(1803〜79)の設計で建築されたので、こう呼ばれます。

雪が残るゼンパーオーパー(クリックで拡大)

1838年ザクセン王ヨハンの建設依頼を受け、41年に開幕。1869年、ガス管修理の火災でほぼ全焼。7年の立て直し工事の後、1878年に第2次ゼンパーオーパーが開幕。第2次世界大戦中に空襲で焼け落ちましたが、1977年から復興工事が始まり、1985年に再開。

1817〜26年にはカール・マリア・フォン・ヴェーバー、1843〜49年にはリヒャルト・ヴァーグナーが音楽監督を務めています。世界初演はヴァーグナーの《リエンツィ》《さまよえるオランダ人》《タンホイザー》、リヒャルト・シュトラウスの《サロメ》《エレクトラ》《薔薇の騎士》などなど。

平土間の前から4列目ほぼ中央席(€85)でレハールの《メリー・ウィドウ》、3階の中央1列目(€99)でモーツァルトの《フィガロの結婚》を見ました。音が良いとは聞いていたのですが、すぐそこのオーケストラ・ピットから聴こえる音が柔らかくまとまっていて、シュターツカペレ・ドレスデンのアンサンブル、さすが!!!

3階より

3階席からはピットの奥が丸見え。フィガロでは他の木管に比べてクラリネット暇そう!とか、ホルンここで使うのか!などと楽しめました。テンポはいずれも速め。幕間は1回だけで、トントン進む感じ。《メリー・ウィドウ》は具象(未亡人はヘリコプターで登場)、《フィガロ》が抽象寄りの演出でした。

ガイド・ツアーによると、ホール内の淡い色合いはゼンパーの趣味。2階以上のボックスを取り除いて、見安くしてありました。椅子が大きめ。しかも、隣との間がちょっと広い。定刻前にチューニングして、ほぼ定刻に公演が始まるのも、新鮮。フレンチ・カンカンの踊り子たちが迫力満点だったので、急遽バレエ《カルメン》のチケットを購入。ゼンパーオペラ、すっかりファンになりました。

天井棧敷から見下ろす。ボックスではなく柱のみ

アマ・オケでもコンサート前に行うゲネプロ。ドイツ語のゲネラルプローベの短縮形です。通し稽古と訳されることが多いですが、オーケストラによって使い方がまちまち。ゲネラルプローベって、本来はいつ何をするものなのでしょう?

日本語版ウィキペディアは(西洋音楽史以外の項目も)信用できるかどうか心許ない([2] ウィキペディア・ジョーク?!? レスピーギの《パッソ・メッゾ》参照)。いつものように英語版ウィキペディアを……と思ったら、英語版にはゲネプロもゲネラルプローベもありませんでした。英語圏では、この用語は使わないんですね(当たり前か)。

というわけで、本家本元ドイツ語版ウィキペディアによると。ゲネラルプローベ Generalprobe(短縮形はゲネプロではなく GP ゲーペー)の定義は「演劇やオペラ、オペレッタ、あるいはコンサートの初日の前に行われる、最後のリハーサル」。最後から2番目や3番目のリハーサルは、ハウプトプローベ Hauptprobe。最後の1回だけがゲネプロです。

オペラのゲネラルプローベは通常、初日の2日前。通常のリハーサルとは異なり、衣装やかつらを付けメーキャップも施し、舞台装置やライティングも本番どおり(そのため、英語圏ではドレス・リハーサルと呼ばれます)。しばしば公開で行われます。

コンサートのゲネラルプロ―べは舞台芸術の場合ほど重要ではなく、何回か行われるリハーサルのうちの最後を指すだけ。各曲を少なくとも1度は通して演奏するのが普通です。海外からのソリストや国際的スター指揮者を含め、出演者が勢揃い。本番会場でのリハーサルなので、ホールの響きを確認したり、ステージ上のレイアウトやスペースを把握する機会としても重要です。

日本のアマ・オケではほとんどの場合、本番会場での練習は当日のみ。ですから、演奏会当日の本番前のリハーサルが、本来の意味のゲネプロですね。聖フィルは恵まれていて、本番のホールで前日を含め複数回練習できることが多いのですが、本番当日も各曲を通してリハーサルしますから、やはりこれがゲネプロ(プロ・オケの当日リハーサルは、要所を確認するだけです)。

ところで、ドイツ語版ウィキペディアでおもしろいなと思ったのは、オペラや演劇のカンパニーには、「失敗したゲネラルプローベは、良い公演の原因となる Eine  misslungene Generalprobe eine gute Aufführung bedingt.」という迷信の格言があるという記述。「だから、ゲネラルプロ―べの最後で喝采すると、演劇人に眉をひそめられる。なぜならそれは初日に不幸をもたらすから」。

初耳だったので、検索してみました。確かにこの格言はドイツのスポーツ記事などにそのまま使われていましたし、ゲネプロの最後に拍手をすると、初日に不幸をもたらすのでいやがられるという記載を他でも見つけました。コンサートではなく演劇やオペラのゲネラルプローベですが、日本では聞いたことありませんね。やはり本家ドイツ語圏のゲネプロは、日本とは少し異なるようです。