突然ですが、ホルンの歴史に関する質問です。

  1. 名前の意味は? 名前の理由は?
  2. 初期の形は?
  3. ナチュラル・ホルンで出せる音は?
  4. それ以外の音を出すためにどうしたか?
  5. ストップ奏法とは何? 考えられたのはいつ頃?
  6. バルブが付けられたのはいつ頃?
  7. フレンチ・ホルンと呼ばれるのはなぜ?
  8. ホルンが象徴するものは?

答えは:

  1. 英語で「角」。伊語(corno)や仏語(cor)も同様。狩猟に使われた角笛に起源を持つから。
  2. 長い管を大きく巻いた形。馬を駆って狩をするとき、肩にかけてそのまま吹けるように(狩猟ホルン)。他の楽器と異なりベルが後向きなのは、後方の仲間に獲物の存在を知らせるため。それに、前方に音が出ると獲物が逃げてしまいます。

    図1:狩猟ホルン1

  3. ただの管なので、ある調の自然倍音(ド・ソ・ド・ミ・ソ……)のみ。
  4. 替え管を用いて管の長さを変えることで、違う調の自然倍音を出せるようにしました。

    図2:ナチュラル・ホルンと替え管2

  5. 自然倍音の間を埋めるために、右手をベルに入れて自然倍音よりも半音高い、あるいは半音〜全音低い音を出すテクニック。18世紀半ばに考案されました3
  6. 1818年、ドイツのシュテルツェル Heinrich Stölzel とブリュメル Friedrich Blümel がロータリー・バルブを用いたバルブ・ホルンの特許を取得。ピストン・バルブは1839年ころペリネ François Périnet によってフランスに導入されました4。ストップ奏法でも音階の全ての音を出すことはできませんし、この奏法を使うと音色が変わってしまいます。また、演奏中に替え管を交換するのは煩わししいことでした。ただ、バルブが普及するまでにはかなり時間がかかりました。
  7. 「フランスの」という形容詞が付くのは17世紀の末以降で、当時フランスが狩猟ホルンなどの製造に優れていたため。図1はパリのクレティエン Crétien 製(ベルの直径14.5cm、内径12mm長さ227cmの管を直径48cmに巻いたサイズでも作られました5 )。でも国際ホルン協会は、この楽器を「フレンチ・ホルン」ではなくただの「ホルン」と呼ぶことを推奨しています6
  8. 英雄の象徴。狩の楽器なので、狩がうまい=獲物を追い詰めるのがうまい→敵を追い詰めるのがうまいということですね。ベートーヴェンの《英雄》交響曲、リヒャルト・シュトラウスの《英雄の生涯》、ヴァーグナーの《ジークフリート》などでも、ホルンが活躍します。

簡単すぎたでしょうか。最後に、ホルンのオブリガートが印象的なバロック音楽の例をご紹介しましょう。ヘンデルのオペラ《ジューリオ・チェーザレ Giulio Cesare in Egitto》から、チェーザレ(ジュリアス・シーザー)がトロメーオの計略を見抜いて「抜け目のない狩人は、獲物を熱望するとき静かに密やかに動く」と歌う、第1幕のアリア〈Va tacito e nascosto〉です7

  1. Paris, Musé de la Musique.
  2.  https://loveshorn.wordpress.com/2009/12/16/the-natural-horn/
  3. Meucci, Renato, ‘Horn,’ The Grove Dictionary of Music, 2nd ed., vol. 11, Macmillan, 2001, p. 718.
  4. op.cit. p. 721.
  5. op.cit. p. 715.
  6. Meek, Harold. “The Horn!”. The Horn Call. 1 (1)(February 1971): 19–20.
  7. Connolly, Christie指揮, Orchestra of the Age of the Enlightenment. グラインドボーン、2005。https://youtu.be/fieBT98DCL.

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